京むらさき大根とレッドトピナンブールのミルフィーユ仕立て

京むらさき大根とレッドトピナンブールのミルフィーユ仕立て

京むらさき大根とレッドトピナンブールのミルフィーユ仕立て。。。

 我が家の菜園、今回の大根類は不作でした。いつも通りの時期に播種した大根の成長中盤〜後半期にあたる10月に30度超えの日々が多かった影響で、大根の中心部に黒いシミができる「黒芯症」にやられました。もともと発芽率が悪かったので、いつもより1月ほど遅れて再度播種しました。遅れたものは成長障害が出ずに育ちました。しかし、今度は成長中盤の11月初旬に霜が降り始めたので、小さいものしかできませんでした。気候変動がもたらす農作物へ悪影響を身をもって感じた事象でした。少量ながら無事収穫できた小さな京むらさき大根を、ありがたくいただきます。
 京むらさき大根を大きめに切って皮付きのまま塩茹でにします。この時少し白ワインを加えます。この茹で汁の塩と白ワインの塩梅で京むらさき大根の仕上がりの色味が変わります。茹であがったら、皮を剥き、目的のサイズに切って、ソテーします。
 レッドトピナンブール(赤菊芋)は皮付きのまま長時間低温ローストして、塩で味を整えてペーストにします。
 ふたつの素材を代わりばんこに重ねてミルフィーユ仕立てにして、庭で冬の零下でも強く生きているワイルド・フェンネルをトッピングします。
 昔から「大根どきの医者いらず」と言われるほど健康効果の高い大根と、整腸作用が強くこれもまた健康効果が高いと言われるレッドトピナンブール(赤菊芋)。
 冬の合わせ技に期待の大きい逸品です。

 

京むらさき大根

京むらさき大根
 大根の原産地は地中海沿岸から中東辺りとされ、紀元前2,200年ころには古代エジプトのピラミッドの労働者の食糧にされていたそうです。また古代ローマでも、食糧だけでなく医薬にも用いられたそうです。日本には弥生時代に中国から伝来して、江戸時代には各地方で栽培されました。現在、各県の伝統野菜の中にもいろんな大根が名を連ねています。その長い歴史の中にあって、京むらさき大根はとても新しい品種です。2014年に、その名の通り京都で生まれた紫色の大根です。辛味が少なく、歯切れがいいので、生食に向きます。彩りが美しいので、サラダに絶好のアクセントになりますね。ミニ大根の一種なので、収穫に強い力と掘る手間も必要ないので、私たち年寄りの家庭菜園にもってこいの品種です。

 

キクイモ「レッド・トピナンブール」

キクイモ「レッド・トピナンブール」

 トピナンブールの原産地(生まれ)は北アメリカ。ネイティヴ・アメリカン(アメリカ先住民)トピナンブ族が昔から食用にしていたものが、17世紀頃にヨーロッパへ導入されたそうです。トピナンブ族からのものだからトピナンブールと名付けられ、アーティチョークに味が似ているからエルサレム・アーティチョークという俗称もあります。確かに、トピナンブールの特徴はイヌリンという機能性成分ですが、これがアーティチョークにも含まれているので、味が似ているのはもっともな話です。

 日本では幕末あたりに導入され、明治の初期に博物学者であり当時の農務官僚であった田中芳雄氏が「花は菊のごとく根は芋のごときにより菊芋の名を命せり」と言って、和名を菊芋としました。しかし、一般に普及したのは第2次世界大戦後。食糧難の中で「作付け統制野菜」に指定され、国民の飢えをしのぐ代用食として配給されていたそうです。その後、日本人にはこの独特の匂いが馴染めず食卓に定着しませんでした。現在、北海道から九州に至る各地で、秋頃になると自生したトピナンブールの花が咲いているの見られますが、その頃の名残りだそうです。

 ところが、この帰化植物となったトピナンブール、21世紀に入って見直されます。それはやはりこのイヌリンという機能性成分。日本でも糖尿病が爆発的に増加及び若年化し、これを懸念する人たちが、日本全国たくさんの地域で、トピナンブールの存在と価値に気付き、いろいろな普及活動が始まりました。1例を挙げるなら、山形県長井市の取り組み。長井では健康長寿を延ばす事と地域再生のため、トピナンブール栽培と6次産業化に取り組みます。山形新聞社が進めるクラウドファンディングに参加し、これに成功します。それにより認知度が格段に上がります。現在では栽培農家も増えたため、長井のトピナンブールの品質に優劣が出ないようにと「申し合わせ事項」を取り決めているとのこと。それは、栽培地の条件、畝幅や株間、化学農薬と化学肥料の使用は不可、米糠など植物性の有機肥料を使うことなど、だそうです。安全性の高い栽培法で作られたこのトピナンブールのイヌリンは体内で多大なる作用をし、また、ビタミンやミネラルなども含まれていて、これらの抗酸化作用との相乗効果で糖尿病や大腸ガンなどを抑制し人体に健康をもたらすそうです。その色々な効果の中に、腸内フローラを整えて免疫力をアップするということがあります。免疫力が強くなるなら、このトピナンブールは現在のコロナ禍やインフルエンザに有効な対策の一つかもしれません。これはSDG'sにも繋がる質の高い活動と言えるでしょう。

 トピナンブールに秘められた可能性は、野菜文化にまだまだ多くの影響を与えそうですね。

 

フィノキエット(ワイルドフェンネル)

フィノキエット(ワイルドフェンネル)

 フィノキエット(ワイルドフェンネル)はフェンネルの仲間ですが、流通販売されているフィノッキオ(フローレンスフェンネル)とは異なり、基部が肥大してバルブのようにはなりません。ただ茎と葉が伸び、夏に花をつけ秋に種を結びます。通常、葉と種を利用しますが、夏の花や花粉も料理の引き立て役にもってこいです。

 フローレンスフェンネルは零下では枯れてしまいますが、ワイルドフェンネルは草勢は小さいですが、しっかりと緑を保っています。寒い冬でも、爽やかな香りで元気を与えてくれるハーブのひとつです。

 

天高く マヤ放つ 愛
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イタリアントマト「コストルト・フィオレンティーノ」
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