石鯛のたたき、マスタードリーフ「ルビーストリークス」の菜花をのせて。。。

石鯛のたたき、マスタードリーフ「ルビーストリークス」の菜花をのせて。。。

石鯛のたたき、マスタードリーフ「ルビーストリークス」の菜花をのせて。。。

 石鯛の刺身をさっと炙って、塩・EVオリーヴオイル・レモン汁をかけて、マスタードの菜花を乗せていただきます。辛味成分イソチイオシアネートがピリッとアクセントを効かせます。
 14世紀頃のヨーロッパでは、食材の持つ健康的益害を食べ合わせによって相殺する考え方あり、料理人はそれを熟知していました。特にソースにそれがよく現れていて、マスタードもよく使用されました。やがて16世紀のルネサンス後期には、健康的益害の考え方から離れ、食味優先に移ります。それでも、マスタードは使用され続け、現在では、コショウに次ぐ調味料として世界で広く愛用されています。
 マスタードの辛味成分イソチオシアネートは虫に食害を受けた時に、動けない植物が虫を追い払うための防御物質。しかし昆虫の進化の過程で、これに負けない物が生まれてきます。それがモンシロチョウの幼虫アオムシ。アオムシは美味しそうにマスタードの葉を食べまくります。とは言え、マスタードも大人しく食べられてはいない。動けないなりに対抗して、もっと辛くなります。こんな進化の繰り返しで、現在の刺激的で美味しいマスタードが誕生したのです。
 最近は生活習慣病の流行により、食品の健康的益害がまた重要視され始めています。イソチオシアネートもガン抑制作用があることがわかってきました。アブラナ科植物が生み出した防御物質、それにアオムシが磨きをかけた。2者が育て上げたとも言えるイソチオシアネート。それが、ヒトのガンに効果があるなんて不思議な話です。それを知ると、ちょっと苦くてピリッと辛いマスタードが、俄然美味しく感じる今日この頃なのです。

マスタードリーフ「ルビーストリークス」

マスタードリーフ「ルビーストリークス」

 マスタードリーフ(マスタードグリーン)は日本語でからし菜のこと。ずいぶん古くから利用され、ブラックマスタードの種子が、紀元前4,800年の中国の遺跡から発見されています。古代ギリシャ人やローマ人も種子と葉を利用していたことがわかっています。日本にも9世紀には伝来していたそうですが、本格的に広まったのは明治以降のようです。現在も、からし菜や高菜として日本各地に残っています。
 種子の分類でブラックマスタードが一番辛く、ブラウン、イエロー、ホワイトと辛さが弱くなっていきます。ブラックマスタードがガン抑制効果のあるイソチオシアネート含有量が高いので、マスタードオイルにして利用すれば、健康にとても貢献してくれるでしょう。ところが、このブラックマスタードは、収穫期になると鞘が爆ぜて種子が一斉に土の上に散開してしまうのです。こうなるともう収穫は至難のわざ。そのため、最近は栽培量が激減して、ブラウンマスタードが市場を取って代わりました。このルビーストリークスは、ブラウンマスタードの1種で、辛味が割りかた強い方のマスタードです。
 濃い紫色の草勢の中で、ポツンポツンと黄緑色の花蕾が美しく映える姿が、本格的な春の到来を告げています。

 

天高く マヤ放つ 愛
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イタリアントマト「コストルト・フィオレンティーノ」
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